複利運用とは投資などにおける資金の運用方法のひとつで、分配金や売買差益による利益を次の取引に利用する運用方法となります。
比較される方法として単利運用がありますが、単利運用は初期資金のままで最後まで運用を行います。
例を交えて違いを解説すると以下のようになります。
例)資金500万円で株式取引を継続して行う。
単利運用→初期資金500万の運用を行います。利益が出た場合でもその利益は運用には回さず継続して500万円を資金として取引を行います。
複利運用→発生した利益は次回の取引に活用されます。例えば10万円の利益が出て資金が510万になった場合、510万円を資金として取引をおこないます。
メリット・デメリット
メリット
複利運用のメリットしては利益が出るたびに資金量が増えていくため、試算が指数関数的に増えていく点にあります。
以下は単利運用と複利運用を比較して継続した場合の試算の推移なります。

単利運用では資金が固定されているため何年たっても一定の率しか伸び幅はありませんが、複利運用では資金量が増えていくため最初の資金量が少なくても継続することで利益も増えていくことが期待できます。
また資金不足による機会損失の可能性も減ります。資金量が増えるしたがって投資対象も増やすことが可能ため、投資する対象の幅も広げていくことが可能です。
デメリット
複利運用のデメリットとしては増える利益に比例してリスクも上がる点などがあります。
増えた資金も全て次の取引に回すため、損失が発生した場合に単利運用より損失が大きくなる可能性があります。
また利益を全て資金として活用するため、いくら利益が大きくても実生活においてはその利益を使うことができず、いつまで経っても生活が豊かになる実感がないなども現実的な問題点としては挙げられます。
積み立てNISAで複利運用をする
積み立てNISAは複利運用を実際に対象としてかなり向いている商品といえます。
継続して投資対象に投資を行い、発生した利益は自動的に再投資に回すことで再投資に回すことができます。
以下は積み立てNISAで継続して投資を行った場合に試算推移になります。
青が積み立てNISAで複利運用した場合、赤が単純に毎年40万円ずつ貯金をした場合です。
運用平均利回りは4%で計算しています。
例)毎年40万円資金追加、20年継続して運用
※2022年現在の積み立てNISAの運用上限

年目 | 複利運用 | 単純積み立ての場合 | 複利運用との差額 |
1 | ¥416,000 | ¥400,000 | ¥16,000 |
2 | ¥848,640 | ¥800,000 | ¥48,640 |
3 | ¥1,298,586 | ¥1,200,000 | ¥98,586 |
4 | ¥1,766,529 | ¥1,600,000 | ¥166,529 |
5 | ¥2,253,190 | ¥2,000,000 | ¥253,190 |
6 | ¥2,759,318 | ¥2,400,000 | ¥359,318 |
7 | ¥3,285,691 | ¥2,800,000 | ¥485,691 |
8 | ¥3,833,118 | ¥3,200,000 | ¥633,118 |
9 | ¥4,402,443 | ¥3,600,000 | ¥802,443 |
10 | ¥4,994,541 | ¥4,000,000 | ¥994,541 |
11 | ¥5,610,322 | ¥4,400,000 | ¥1,210,322 |
12 | ¥6,250,735 | ¥4,800,000 | ¥1,450,735 |
13 | ¥6,916,764 | ¥5,200,000 | ¥1,716,764 |
14 | ¥7,609,435 | ¥5,600,000 | ¥2,009,435 |
15 | ¥8,329,812 | ¥6,000,000 | ¥2,329,812 |
16 | ¥9,079,005 | ¥6,400,000 | ¥2,679,005 |
17 | ¥9,858,165 | ¥6,800,000 | ¥3,058,165 |
18 | ¥10,668,492 | ¥7,200,000 | ¥3,468,492 |
19 | ¥11,511,231 | ¥7,600,000 | ¥3,911,231 |
20 | ¥12,387,681 | ¥8,000,000 | ¥4,387,681 |
複利の効果は大きい
上の例では20年複利運用を行うことで最終的な資産の差として約440万円もの差が生まれています。貯金した場合と比較して1.5倍になっていることになります。
積み立てNISA対象の投資信託では発生した利益を再投資に回すことができ、効率的に資金の運用ができます。