プライム177社がスタンダート市場へ移行
2023年10月11日、東京証券取引所(TSE)は、177社がプライム市場からスタンダード市場に移行することを発表しました。これは、TSEがプライム市場の上場基準を厳格化した結果、これらの企業が新しい基準を満たすことができなかったためです。この動きは、TSEが国内外の投資を促進し、競争力と成長性を持つ企業をプライム市場に集める試みの一環となります。しかし、基準を満たせない企業も多く、この結果、スタンダード市場への移行が進行しています。
プライム市場の基準
プライム銘柄の維持基準として、下記のような条件があります。
条件を満たしていない銘柄もは早急に基準を満たすことが求められています。
(参考:https://www.jpx.co.jp/equities/market-restructure/market-segments/nlsgeu000005mhh3-att/Criteria_jp.pdf)
項目 | 上場維持基準 |
---|---|
株主数 | 800人以上 |
流通株式数 | 20,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 |
売買代金 | 平均売買代金0.2億円以上 |
流通株式比率 | 流通株式比率 35%以上 |
財政状態 | 純資産額が正であること |
基準を満たさない銘柄の株価(時価総額)
2023年10月現在で時価総額が維持基準条件である100億円に満たない企業の株価の検証です。
まず上場株式全体であるTOPIXは年初から10月現在では+20%上昇しています。
通常であれば年初来からはプラスである銘柄の方が多いのが自然と言えます。
実際に全銘柄を年初から保有した下記ような結果になります。
項目 | 数 |
---|---|
対象銘柄 | 3872 |
利益プラスの銘柄 | 2765 |
利益マイナスの銘柄 | 1107 |
利益が出ている銘柄が出てない銘柄の2.5倍程度あります。
このことからも全体で株価が上昇している銘柄が多いことが確認できます。
次に上場基準を満たさないプライム銘柄のうち、
時価総額について維持条件を満たさない銘柄を調べてみます。
・検証対象:「時価総額100億円に満たない」プライム企業
・2023/1/4から2023/10/12までの株価の変化


対象となった銘柄72銘柄あり、利益がプラスだったものが32銘柄、マイナスが40銘柄となりました。
(0はプラスと判定)
項目 | 数 |
---|---|
対象となった銘柄 | 72 |
利益がプラスだった銘柄 | 32 |
利益がマイナスだった銘柄 | 40 |
株価が下がる原因
これらの銘柄が株価が下がりやすい原因として下記のようなものが可能性として考えられます。
- 市場信用の喪失: 基準達成の失敗は市場の信用を損ない、投資家に売却を促します。銘柄がプライム維持基準を満たさないことは、その企業の財務健全性や運営能力に対する疑念をもたらし、投資家の信頼を低下させ、結果として株価が下がる。
- 投資家のリスク回避: 投資家はリスクを避ける傾向があり、不確実性が高まると安全な資産に資金を移動します。プライム維持基準を満たさない銘柄はリスクが高いと見なされる可能性があり、これが投資家の売却を促し、株価を下落させる。
これらの他にも業績不振なども考えることもできますが、全体が上げる傾向がかなり高いなか下がっている銘柄が多い点から考えると、投資対象としては少しリスクが高いといえるかもしれません。
公開検証したのは維持条件についても時価総額についてなので、複数の条件を組合わせ比較することでより正確な分析かと思いますが、手持ちデータが限られているため今回はここまでです。